野上陳令日記
秋田県公文書館では、旧秋田県立秋田図書館以来、秋田藩の藩政史料の翻刻・刊行事業を行っており、これまで『国典類抄』『御亀鑑』『渋江和光日記』『宇都宮孟綱日記』『岡本元朝日記』を刊行してきました。これに続くのが、寛政から弘化にかけて教学関係の役職を中心に多彩な役職を歴任し、最終的には明徳館の祭酒(学長)を勤めた野上陳令による日記です。
令和6年3月刊行の『野上陳令日記』第2巻は、文化11年(1814)5月から文政5年(1822)5月の間に表方役職を務めた際の記録である「御副役御用留書」「御評定方奉行御用留書」「町方御用留書」を収録しています。副役就任から評定奉行に昇格し、刑罰に関わる法令の適否審判や遺跡(家督)相続の審理など政治全般にわたり具体的な記録が残っています。また、昇格時に町奉行の兼帯(兼任)も命じられたため、久保田市中に加えて土崎湊の民政・警察職務などの執務内容も記録されています。
評定奉行と副役は、寛政期の政治改革で中心的な役割を担った役職でもあったことから、その後の政治の在り方を理解する上で重要な記録です。
- 発行日令和6年3月刊行
- 仕様A5判・489頁・上製本(布クロス)付録CD-ROM
- 価格4,400円(税込・送料別途)
- 編集秋田県公文書館
- 発行秋田県
- 販売秋田活版印刷株式会社
令和5年3月刊行の『野上陳令日記』第1巻は、寛政6年(1794)10月から文化7年(1810)7月までを記録した「御学館勤番日記」を収録しています。野上陳令は寛政5年(1793)から享和元年(1801)の学館勤番の間、約3年間の江戸遊学を経験し、折衷学派の儒学者である山本北山や細井平洲と出会い大きな影響を受けました。その後に任ぜられた学館教授では、郷校巡回などを通じて領内の教学浸透に尽力しました。学館で培われた学問の力によって実務能力の高さを発揮した陳令の記録は、教学関係から藩政を窺い知ることができる貴重な資料です。
- 発行日令和5年3月刊行
- 仕様A5判・408頁・上製本(布クロス)付録CD-ROM
- 価格4,400円(税込・送料別途)
- 編集秋田県公文書館
- 発行秋田県
- 販売秋田活版印刷株式会社